課長島耕作

課長島耕作

『課長島耕作』(かちょうしまこうさく)は、弘兼憲史による日本の漫画。『モーニング』(講談社)にて、1983年から1992年まで掲載され、2018年3月1日から2018年8月22日までコミックDAYSにて毎日再掲。

【概要】

本作品は1980年代前半の日本経済中成長期(安定成長期)から同年代後半のバブル期を経て1990年代初期の失われた20年前夜に至るまでの日本経済の動向、大企業間の競争、大企業内部の派閥争い、経済活動の末端で働くサラリーマン、特に団塊の世代の群像の様々をリアルに活写したものであった。
本作品の主人公・島耕作は団塊の世代に属し、大手電器メーカー「初芝電器産業」に勤務するサラリーマンである。作品が連載開始された当初(1983年頃)の島は、小心で保身を考える平凡なサラリーマン像に描かれており、作品内容もオフィスラブなどの個人的な身辺事が主たるものであった。
初芝電器産業は、作者・弘兼が漫画家デビューする前に勤めていた松下電器産業(現:パナソニック)がモデルになっていて、松下電器産業が実際に行った経営行動が漫画内に反映され、初芝電器産業は松下電器産業と同じ経営行動をすることがある。
話数カウントは「STEP○」。
1991年度(平成3年)、第15回講談社漫画賞一般部門受賞。

【作風】

1984年後半から毎回連載が始まると、作品は大企業内部の派閥抗争や企業戦略に基づく経営展開などのマクロな経済世界へと舞台の主軸を移していった。それに伴い島は、揺れ続ける社内での派閥争いの動向の中でも「自身の信念のみに従う行動的人物」として描かれていき、前向きな性格と幸運で度重なる苦難に直面しても乗りきっていく。苦難を乗り切る過程では、知人の探偵・木暮久作を駆使したミステリ仕立ての冒険活劇が展開される。また、シリーズごとに島と性的関係を結ぶ女性が登場する。
経済面のストーリー展開は、実社会の時事ネタが次々と島と初芝に襲い掛かるも、実社会の企業の失敗を研究してストーリーに取り入れ、時には左遷なども経験するが巧く乗り切って出世していく。派閥抗争、経営戦略、ミステリ活劇、女性関係などの複雑に絡み合う各要素が多くのサラリーマン、とりわけ団塊の世代の男性の心を鷲掴みにし、1990年頃には大人気漫画として社会現象を巻き起こした。
テレビドラマ化などメディアミックス展開が行われたほか、2000年代からは課長就任前の島の様子を描くシリーズ(『ヤング―』『係長―』『学生―』『少年―』)の掲載が開始され、これに伴い本作はシリーズを通じて島耕作の半生を描いた一種の大河作品ともなっている。2010年代以降は公認パロディやスピンオフ作品が発表されるなど、現在も根強い人気を誇っている。

 

 

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